天恩寺概要: 天恩寺の創建は建武2年(1335)、矢作川の戦いに敗れた足利尊氏が延命地蔵尊に戦勝祈願を行い、念願成就したら一宇を設けると約束しました。翌日の戦に大勝したものの、尊氏は約束を守れず延文3年(1358)に死去、3代将軍足利義満が貞治元年(1362)に遺言に従い円応国師(寂室元光:永源寺:滋賀県東近江市)を招いて開山しました。応仁の乱の兵火で多くの堂宇、記録、寺宝などが焼失し一時衰退しましたが天正19年(1591)、当時の長篠城の城主奥平信昌が大円妙応禅師を招き再興しています。長篠城の戦いの際には徳川家康が戦勝祈願に天恩寺を訪れ、その帰り際に自分の名前を呼ぶ延命地蔵尊のものと思われる声に振り向くと、敵方の間者が大杉から矢を向けているのを見つけ危うく難を逃れています。家康は延命地蔵尊の御加護に感謝し、帰路の途中何度も大杉に向って振り返り、慶長7年(1602)には寺領100石を寄進し、江戸時代を通して幕府の庇護を受けました。現在の仏殿は貞治元年(1362)当時のもので入母屋、檜皮葺、桁行3間、梁間3間、唐様、素地、室町時代初期の仏殿建築の遺構として大変貴重な存在で国指定重要文化財に指定されています。山門は室町時代に建てられた薬医門で切妻、こけら葺、桁行1間、国内最古の薬医門建築の遺構として大変貴重な存在で国指定重要文化財に指定されています。
天恩寺の文化財
・ 天恩寺仏殿−貞治元年−国指定重要文化財
・ 天恩寺山門−室町時代−国指定重要文化財
・ からうすの図(1幅)−江戸時代中期−岡崎市指定文化財
・ 蝦蟇・鉄拐仙人図(2幅)−江戸時代中期−岡崎市指定文化財
・ 見返りの大スギ−推定樹齢約450年−岡崎市指定天然記念物
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